猫と一緒に飛行機に乗るときに、おさえておくべき 心得10ヶ条

人生で5回ほど引っ越しを経験しまして、その中でもいちばん大がかりだった引っ越しは、上京のときでした。

福岡〜東京間での家財道具の移動の手配や、物件の管理会社とのやり取りはもちろんでしたが、いちばん頭を悩ませたのは、猫2匹を連れての長距離移動のことでした。

そこで、自分への備忘録も兼ねて、猫と長距離の引っ越しをする際に飛行機移動で心得ておくべきポイントを、体験談を交えながらまとめておきたいと思います。

猫と幸せに生きていくためのひとつのナレッジとして、誰かの役に立てばうれしいなと思っています。

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猫といっしょに飛行機移動は難しい?

「犬は人に付き、猫は家に付く」という、いにしえの言葉がありますが、あながちこの考え方は間違ってなくて、猫という生き物はテリトリー意識が強く、自身をとりまく住環境の変化にはかなりストレスを感じやすいと思います。

引っ越しの際、とにかく何が不安だったかって、猫との長距離引っ越し(特に飛行機での移動)について、参考になる情報がほとんどないことでした。

事務的にやらなければならないことの情報はすぐに出てくるのですが、なんといっても体験談が少なく、本当にこれで大丈夫なのか、もし大丈夫じゃなかったときどうすればいいのか、まったく見当がつかなかったのです。

最近はどうかわかりませんけど、「絶対あんた猫飼ってないでしょ」っていうクソみたいなSEOメディアが引っかかったりもするので、ほんとうに厄介でした。体験談が!ないんです・・・!!!

結論、きちんと抑えるべきポイントを抑えて、焦らずゆっくり準備して挑めば、猫といっしょのお引越しは難しくないです。(簡単とは言い切れないんですけども。)

なので、私自身が「こういうこと事前に知っときたかったな」と思ったポイントと、リアルな体験談をお伝えできればと思います。

国内線ではペットは機内持ち込みできない

現在、国内線の飛行機ではペットの機内持ち込みができず、客室に猫を連れて一緒に乗ることができません。手荷物と同様、搭乗前に預ける必要があります。

2024/01/20:追記

スターフライヤー社にて、機内へいっしょに搭乗できるサービスが始まったそうです。

猫をはじめとしたペットとの飛行機移動については、料金や預ける際のケージの指定についてなど、各航空会社にてルールがあるので、事前に航空会社からの情報を確認しておきましょう。

参考として、ANAの場合の規定を引用させていただきます。どこの航空会社も必ずこういう規定があります。

IATA規定に適合した、航空輸送に耐えうるペットケージでの輸送のみ承ります。

<ペットケージの条件>*すべての条件を満たす必要がございます。

  • 頑丈な屋根がついている
  • 丈夫なケージである(硬質プラスチック、金属製、木製など)
  • 換気用の窓が備わっているなど通気性がある
  • 外側に機能的な取手付がついている
  • 逃亡や接触を防ぐために鍵がついている
  • 車輪は取り外しが可能、または固定が可能
  • ペットが立つ、座る、寝る、回転できる大きさである
  • 吸水剤の下敷きなどがあって、液体や汚物などが外に漏れないよう耐水装置がある
  • 保冷マット、飲み水やエサ用の適当な容器や皿が、ペットの状態や輸送時間に応じて準備されている(乗継地でのエサやりは不可となります)
https://www.ana.co.jp/ja/jp/guide/reservation/support/domestic/pets/

極論、各社の対応やサービスを確認してから、航空会社を選んでもいいかもしれません。不安なことがあれば、安心できるまで、理解できるまで、しっかり問い合わせて確認しましょう。

ちなみに、筆者は当時スカイマークを利用させていただきました。

これで安心!猫と飛行機、おさえておくべき心得10ヶ条

その1:拘束時間の少ない移動ルートを選ぶ

まずはじめに必ず確認しておくべきは、出発地から目的地までの移動ルートです。

猫にとって移動時間=拘束時間は短いにこしたことはないので、とにかく効率良く動けるルートを考えましょう。

出発地から空港までの道のりと、空港についてからの道のり、それにかかる所要時間をしっかり確認して、頭の中で何回もシミュレーションしておきましょう。もっと言うと、空港のどのあたりにたどり着けば自分の航空会社のカウンターに近いのか、なんてところまで詳細に確認できておくといいですね。

当日行きあたりばったりで、とりあえず空港まで着けばいいや〜という考えは絶対になさらぬようお願いいたします。

その2:空港まで&空港からはできるだけ車で移動する

人それぞれいろんな事情があるとは思いますが、空港への行き来は車を使うことを強くおすすめします。

公共交通機関でも問題ないのですが、人が多いところへ猫を連れ出すのは、よっぽど人馴れしてる猫以外はおすすめできないなーというのが率直な感想です。

車移動、かつ自分で運転しなくていい方法として、家族や知人に空港まで送ってもらうとか、タクシーで移動するとか、とにかくできるだけ人混みに触れずに安心して移動できる環境を作ってあげるのがベストかなと思います。

「自分で運転しなくていい」とあえて書いたのは、下僕(人間)が移動中に猫の様子をしっかり見てあげられるようにするためです。

私の場合は、出発地から空港までは両親に車でお見送りついでに送り届けてもらい、空港から目的地まではタクシーを利用しました。

その3:猫の移動コストをケチらない

大切な郵便物を送るとき、保証の乏しい定形外郵便よりも、安心できるゆうパックを選ぶのと同じように、移動にかかるコストはケチらないようにするといいと思います。

様々な選択があるとしたら、お金がかかっても安心安全な方を選ぶ、この考え方を前提としてあれこれ進めるのがおすすめです。

その2の移動手段もそうなのですが、タクシーはお金がかかりますが、とてもおすすめです。東京だと羽田から指定区へ定額で移動できるプランもあります。

空港定額タクシーには【GO】が便利

わたしは「GO」というタクシー配車アプリで空港定額タクシーを使いました。クーポンを使うと2,000円OFFになるみたいなので、ご検討中の方はぜひご活用くださいね。

その4:事前に猫の体調チェックをしておく

飛行機乗るときって、コンディション悪いと人間でも体調がゴミになるじゃないですか。気圧とか騒音とか揺れとかで。

人間より体の小さい猫にとっては、飛行機搭乗時の環境の変化は一大事です。

ぜひ、飛行機に乗る1週間以内くらいに、かかりつけの動物病院を受診して「これから飛行機に乗るんですけど悪いところ無いか見てもらえませんか?」と伝えましょう。

簡単な健康チェックだけでもいいので、猫が健やかな状態であることを確認した上で飛行機に乗ってもらうようにしてくださいね。

猫によっては、飛行機搭乗中、酔って吐いちゃったり粗相をしたりする可能性がありますので、できれば飛行機に搭乗する日はあまりお水や食べ物を与えないほうが良いと思います。

その5:猫1匹につき、必ず1名の人間が付き添うようにする

これはまさに体験談的な話になりますが、わたしが実際に飛行機移動したときは、猫2匹に対して人間(私)が1人、という状態でした(地獄)。

猫用キャリーは1匹につき1つが鉄則なので、キャリー2つに加え自分の荷物も運ばなければならず、猫の様子もそれぞれ気を使わなければいけないので、とにかく大変だったのです・・・。

わたしは実体験として、のちにこの選択を大後悔する事件が起きてしまったのですが、猫1匹につき必ず1名ついてあげれるようにしておいてください(切実)。

その6:猫のキャリーケース(ペットケージ)はきちんと選ぶ

航空会社各社のルールをチェックしてみてもらうとわかるのですが、猫用のキャリーケース(ペットケージ)は一定の基準を満たした頑丈なものでないと、ペットを預けることができません。(会社によってはレンタルもある)

大体の航空会社は「IATA規定に適合した、航空輸送に耐えうるペットケージ」というような規定を設けています。素材や仕様だけでなく、搭乗するペットに適したサイズか?というようなことまで指定されているので、猫ちゃんの安全のためにも必ず確認しましょう。

そして、基準を満たしたものであっても、購入後に必ず品質をチェックしましょう。フタやドアにガタツキはないか、意図してない部分から外れたりしないか、ロックはちゃんとできるか、頑丈な素材か(布製はダメです)、必ず確認して買うようにしましょう。

繰り返しになりますが、お金がかかっても安心安全な方を選ぶ、これ鉄則です!安物の粗悪品は、絶対に避けましょうね。

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その7:キャリーケース内は安心できる環境にしておく

キャリーケースは移動中の猫を守ってくれる大切な居場所です。安心安全な環境にしてあげましょう。たとえば、飼い主のニオイがついたタオル、お気に入りのおもちゃを入れてあげるなどしてあげるとか。

万が一の粗相のために、トイレシートを敷いておくといいですね。

我が家は、キャリーケースに慣れてもらうために、飛行機に乗る2週間くらいまえからキャリーケースを部屋の中に置いてドアを開けておき、自由に出入りできるようにしていました。

その8:飛行機を降りたあとのこともシミュレーションしておく

無事にフライトを終えて飛行機から降りたあとは、荷物受け取りエリアで、空港スタッフの方から直接キャリーケースを引き取ります。手荷物レーンに乗って回転寿司のように運ばれてくるわけではないので安心してくださいね。

空港から目的地に向かうと思うのですが、とにかく飛行機を降りてからも油断は禁物です。目的地につくまでは、とにかく神経を張り巡らせて、安全に猫を運ぶことに集中しておきましょう。

ちょっとしたTips

猫を手荷物カウンターに預ける際、フタやドアが開かないように養生テープ的なもので留めてくれる事があると思うのですが、これ、家につくまで剥がさないでおくほうがいいと思います。移動中の予期せぬアクシデントでキャリーのフタやドアが開いてしまうことを防げます。

猫ちゃんを引き渡してもらうとき、お荷物係のスタッフさんが剥がそうとしたら、「そのままでいいです!」と伝えましょう。

その9:新居に着いたら、最初に猫の居場所を作る

一大イベント・飛行機移動が済んで新居についたら、猫が安心できるスペースを作ってあげましょう。

そもそも猫は新居に初めて足を踏み入れるわけですから、どこに行ったって落ち着くわけがないのですが、お部屋の隅っことか、人がドタバタしないところとか、静かなところを選んで、いつも使ってた猫ベットを置いてあげるとか、安心スペースを作ってあげてくださいね。

そのうち、お家全体に慣れてきたら、好き勝手にお気に入りスポットを見つけ出すので、そしたらまた猫の気分と相談して、ベッドやキャットタワーなどのレイアウトを考えてあげてくださいね。

新居初日は、とにかくそっとしておきましょう。

その10:猫へのお礼(ごほうび)を準備しておく

飼い主の勝手な都合で、慣れ親しんだ家を離れることになり、謎の轟音こだまする鉄の塊で移動させられて、猫にとってはえらく迷惑な話です。

ご協力いただいたお礼として、いつものちゅーるでもいいし、ちょっと高級なおやつでもいいし、猫の喜ぶごほうびを準備してあげて、新居に慣れた落ち着いたタイミングで感謝の意を述べながら、差し上げてください。

事前準備をしっかりして、猫ちゃんとよいフライトを!

猫との長距離なお引越しは大変なことも多いですが、ぜひ猫ちゃんの安全の移動のために万全の準備で挑みましょう。

長々とお読みいただきありがとうございました。よいフライトを!

追記:2024/01/20

2024/01/02、羽田空港の滑走路で日本航空(JAL)と海上保安庁の航空機同士が衝突し、海保機の5人がお亡くなりになる事故が起こりました。この度の事故に遭われた方々におかれましては、謹んでお悔やみ申し上げます。

そして、事故に遭った旅客機内には猫ちゃんが預けられており、救出できなかったことから、様々な議論が交わされています。そのことから、当ページへのアクセスが急増しているため、わたしの個人的な意見も付け加えさせていただきたいと思います。

まず、当記事では猫と一緒に飛行機に乗ること自体をおすすめしているわけではありません。

記事冒頭でも申し上げている通り、猫は自分を取り巻く環境の変化に、かなり敏感にストレスを感じる生き物です。気軽に飛行機へ乗せるべきではないと考えています。

かといって、引っ越しなどのやむを得ない事情によって、長距離の移動となる場合、陸路が一番ベストかというと、それもまた違うのではないかという意見です。交通事故に遭う可能性だってあるし、何より飛行機移動が必要なくらいの長距離を、陸路で何時間も耐えられるかというと、それもまた猫にとって多大なるストレスになると思うのです。

この議論について、すぐに答えが出ることは難しいと思います。飛行機の客室内にペットを同行させることで解決するかというと、そうではないと思います。なぜなら、緊急脱出が必要な場合において、荷物の持ち出しは限られるため、客室で一緒に過ごせたとしても、一緒に避難できるとは限らないからです。

愛猫と一緒に飛行機移動をした実体験としては、本当にハラハラするものでした。

飛行機にペットを預ける際、提出が必要な同意書には、輸送に際して起こるペットの死傷について航空会社は責任は追わないことに同意しなければいけません(細かい内容は省きますが、ざっくりまとめるとこういうことです)。

万が一のことは、飛行機に乗っている間中、ずっと考えていました。どうか無事に離着陸できますようにと、そんな気持ちでいっぱいでした。自分の都合でこんなにつらい移動を強いているのだと考えると本当に申し訳ない気持ちだったのです。

重ねてお伝えしますが、わたしは気軽な気持ちでペットを飛行機に乗せるべきではないと考えています。

いちばんは、永住できる住まいで動物と暮らすことにつきます。ただ、わたしの場合は、引っ越しのために飛行機で愛猫と一緒に移動するという選択を取りました。そして当時、ペットを飛行機に乗せるための情報が本当に少なかったため、誰かのお役に立てばと思い、この記事を執筆しました。

なので、これからペットと飛行機での移動を考えている人には、万が一のことは起こり得るので気軽な気持ちで乗せないでほしいということ、それでも飛行機に乗せる必要がある場合は、この記事を参考にしていただいて、万全の準備で臨んでほしいと思っています。

それからいちばん伝えたいのは、ペットと暮らす人たちに対して必要以上に攻撃的にならないでほしい、ということです。

動物が苦手な人もいることは重々理解しています。動物たちによって嫌な経験をした人たちもいるでしょう。でも、わたしたちにとって大事な家族であることには変わりがありません。

今回の事故で、いろんな意見を持った人たちがヒートアップしてしまう場面があり、「人間の都合で勝手に飼ってるくせに、何が家族だ」とか「人命優先なんだから動物のことなんて考えられない」とか「アレルギーの人にとっては動物なんて迷惑でしかない」とか、語気強めの意見を見て、とても悲しい気持ちになりました。

大切なものは人それぞれです。それがわたしたちにとっては一緒に暮らす動物だったりするわけです。人命第一であることはわたしたちも理解しているし、それを蔑ろにしたい訳ではないのです。

今回の事故をきっかけに考えなければいけないことはたくさん出てきたと思いますが、必要以上にお互いが攻撃的にならないような、建設的な議論ができるようになること、それから、人間も動物も豊かに穏やかに暮らしていけるようになることを切に祈っています。

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